2017年04月23日

固執と妥協

音楽って人によってかなり好き嫌いが分かれますよね。音楽好きの人ほど,音の好き嫌いがハッキリしてるような感じもします。

YASU-Q自身も,聴く分にはあまり苦手はなく何でも楽しんで聴ける方ですが,自分がバンド等で演奏するとなると,技術的にどうこうではなく,苦手,というよりも絶対にやりたくない音楽は結構あります。

これまでの半生でもそれが原因で止めたり解散したバンドが数知れず...いや,まあ人間関係とか,メンバーが引っ越したとか,他の事情も関係してますけどね(笑)。

素人でコレですから,音楽で食ってる人達,特にトップアーティストとなると,自分が作ったり演奏したりする音楽にはいろいろこだわりがあるのが当然でしょう。仲良くやってるように見えてた有名バンドで突然のメンバー脱退,なんてのはよくありますよね。


英国の"YES"というプログレを代表するバンドは,YASU-Qの最も好きなバンドの一つですが,特にメンバーの離合集散が多いバンドとして有名です。中心的なメンバーに何回何回も脱退・再加入を繰り返してるヤツが何人もいる(笑)。

まあメンバー全員がソロでも十分やって行ける,一癖も二癖もある超・凄腕ミュージシャンばかりなので,ワガママやこだわりもハンパないのでしょう。これまでも何度かバンドが分裂状態になり,"YES"というバンド名の使用権をめぐって裁判沙汰になったことすらあります。


バンドの創設メンバーであり,唯一YESを正式に「脱退したことのない」ベーシストのクリス・スクワイヤが本家YESをずっと牽引し続け,2014年にも来日していましたが(→その時のblog),翌2015年に白血病で亡くなってしまいました。

彼の遺志によりバンドは存続することになり,スティーブ・ハウ,アラン・ホワイトという全盛期のメンバーを中心にジェフ・ダウンズと比較的若いメンバーで脇を固め,しっかり本家YESは継続されています。


もう一人の創設メンバーであるジョン・アンダーソンはこれまでも何度かバンドを離れては戻りを繰り返していますが,2008年に病気を理由に脱退してからはバンドに戻らずファンをやきもきさせていました。

ところが昨年から,こちらも全盛期のメンバーでYESに何度も脱退・再加入を繰り返しているリック・ウェイクマンと,80年代から90年代のYESを支えたギタリスト,トレヴァー・ラビンの2人と組んで,"アンダーソン・ラビン・ウェイクマン",略して"ARW"というバンドを組んで,分家YES的な活動を再開させました。


そして。

先週末この"ARW"の来日公演がありました。

行く行く行く!

当然,聴き逃せるわけもなく,YASU-Qも尼崎のアルカイックホールに駆けつけたワケです。はい,ここまでが前置き。前置き長あ(笑)。

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本家YESやクリムゾンほどは観客いないかなと思って行ったら大間違い。ホール入り口には,プログレ系の大物のコンサートでは見慣れた中年〜初老のややくたびれたオッサン達が長蛇の列を作っております。もちろんYASU-Q自身もそこに完全に溶け込んでいるわけで(笑)。女性もちらほらおられますが,全体の1〜2割ぐらいかな。

ステージ上手には10台ほどのキーボードが階層をなして半円形に並べられており,コルグやローランドのハイエンドキーボードの上にミニモーグが2台ちょこんと乗ってるのが,観客の期待をさりげに高めています。

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ナレーションではバンド名を"ARW"ではなく"YES feat. Anderson, Rabin, Wakeman"と呼んでおり,家に帰って調べてみたら,つい最近になってこの3人でも"YES"を名乗ることが正式に認められたようですね。しかも4月初旬には本家YESのロック殿堂入りの記念式典で,スティーブ・ハウ,アラン・ホワイトとこの3人と,なんと"RUSH"のゲディ・リーでステージに立ったらしい。

クリスが生きてる内に全盛期メンバーでの再結成は見られなかったけど,いつかもう一度ジョンやリックが本家YESに合流して一緒に往年の名曲を聴かせてくれないかなと,どうしても期待してしまいますね。


サポートメンバーのリズム隊に続いてリックとトレバーがステージに現れ,中央でしっかり抱き合って再会の感動を演出しつつそれぞれの持ち場につきます。ちゃんとマント着てるよ,リック〜!

ステージは80年代YESの象徴的な曲"Cinema"から始まり,3rdアルバムの"Perpetual Change"へと続いて行く中で,この日の主役ジョンがリズムに乗って,というよりどう見ても左右によろけながら登場(笑)。


私,恥ずかしながらジョンをこの目で見るのは初めて。

もう70歳を超えてるというのに,小柄なこともあってか「可愛い」感じのおっちゃん(失礼)。よく動きますし,芸達者で,歌いながらいろいろな楽器を手にします。


最初はちょっと声の出がイマイチでしたが,1曲2曲歌う内にどんどんハイトーンが伸びるようになり,ああなるほど,これが「天使の声」かとゾクゾクしてきます。

歌が上手いとか声が綺麗とかそういうレベルではなく,これは本当に「声の芸術」。

透き通るようなロングトーンもあれば,ハスキーさを加えたパワフルな押しもある。ささやくような小声もあれば,完全にロックしたシャウトもある。も,何でもアリ。

昔々大学生の頃,九九五式の前身になったバンドで一生懸命コピーした"Heart Of The Sunrise"。本物のジョンの歌声はもう涙だーだーモンでしたよ。


セットリストは新旧のYESの曲をバランス良く取り上げてました。個人的にはアルバム"90125"から"Hold On"とか"Changes"をとりあげられてたのが超・嬉しかった。"Changes"もバンドでやりましたよ。大変でしたけど(笑)。

リックのキーボードが大活躍する"Awaken"も嬉しかった。マントを翻しながらずらっと並んだ多数のキーボードを自由自在に操る姿は,この人が自分のヒーローの一人であることをしっかり確認させてくれました。


トレバーのギターは相変わらず超絶技巧でしたし,サポートのリズム隊のお二人もコーラスに参加しててマルチぶりを発揮した良いお仕事をされていました。

でもなあ,やっぱりなあ...

いやここからはもう個人的な好みの問題ですが。


よーく聴いてると,時々,あれ?ずれた?っていう突っ込みどころが。そりゃトッププロですからミスっても上手に誤魔化してますけど,本家YESの,本当にもう一糸乱れぬ完璧な演奏と比べると若干ドタバタした荒っぽい感じが否めない。

やはりクリスとアランという本家YESの鉄壁のリズム隊がいかに凄いかというのがよーく分かります。リズム隊が絶対に乱れないから上物のギター,キーボード,ボーカルが自由にできる。

ギターもやっぱりスティーブのあの独特のギターの方が好きだなあ...単純な上手い下手だったらトレバーの方が上なんだろうけど。


そういう意味では,歌とキーボードはこちらが本家,ギターとリズム隊は向こうが本家,みたいな残念な感じ。やっぱり何とかジョンやリックがもう一度本家YESに合流してくれないかなあ。

いろいろな意地や固執,確執はあるでしょうが「妥協」これですよ。クリスが生きてたらまた上手に2つのバンドをまとめてくれたんだろうけど...

そんことを思ってる内にステージはどんどん進み,ラストは"Owner Of Lonely Heart"でアンコールは"Round About"。そりゃもう大盛り上がりでしたよ。


ということで。

ジョンの歌声や演奏そのものはとても楽しめたけど,ちょっぴり寂しい切ない気持ちも感じた一夜でした。

posted by YASU-Q at 19:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ライブレポート

2017年04月14日

ヘタウマ? ヘタヘタ?

春の嵐が吹いて,大阪では桜もかなり散ってしまいましたが,みなさまのところではいかがでしょうか。

先週末もオッサン3人は真面目にスタジオ入りしました。

後述しますが,ライブの予定も決まり,今度のステージに向けて新しい試みをいろいろ。


その一つがインプロビゼーション,つまり即興演奏。

3人でスタジオに入って,曲とかコード進行とか一切決めず,2時間でも3時間でも各自好きなように即興演奏を楽しむ,というのが我々の本来のスタイルだったのですが,もう一度ステージに立つと決めた時から即興を封印し,きちんと曲やアレンジを決めて演奏をしてきました。

というのも,人前で即興演奏を披露するとなると,演奏者には通常の演奏以上の高度なスキルが要求されると思うんですよ。

デッサン力も表現力も優れたプロの画家が描いたヘタウマな絵と,素人が遊びで描いたヘタウマ風な絵と,見る人が見たら全然違うでしょ。音楽でも,上手い人が現代音楽っぽく崩して演奏してるのと,ヘタクソが最初から崩れた演奏してるのと全然違うはず。

しかも決め事の少ない自由度の高い即興演奏だと,演奏者同士の呼吸がきっちり合ってないととんでもない大失敗になってしまうリスクがある。別に自分達だけで遊びでやってるならいいけど,お金をとってお客さんの前でそんなみっともない演奏はできない。


...まあそれでもステージに再び立ち始めてからもう2年。

3人ともそれなりに進化した...はず。

もうぼちぼちインプロやってもいいでしょ? 許されるでしょ?

ということで今度のステージでは3人のインプロが炸裂し合う曲もありますので,どうぞお楽しみに。


さてその次回のライブですが,昨年秋と同じく老舗ライブハウスの西九条BRAND NEWさんに出演が決まりました。日時は以下の通りです。

場所:西九条BRAND NEW
日時:H29年7月16日(日)夕刻
チケット:前売り2500円,当日3000円(+ドリンク500円)

日曜の夜ですが連休の中日のため翌日も祝日でお休みです。ビール片手に気軽にオッサン達のヘタウマ?を楽しんで下さいませ。

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posted by YASU-Q at 00:59| Comment(0) | TrackBack(0) | ライブ予定